小児矯正

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なぜ子供の矯正が必要なの?

小児矯正(顎顔面矯正)とは?私が学校検診にお伺いすると、いまはむし歯のお子さんはほとんどいません。学校検診の普及、フッ素入り歯磨きペーストの普及、親御さまの意識が向上しているためだと思われます。しかし、検診でお子さんを診ていると、歯ならびや噛み合わせが悪い子が非常に多い印象があります。現代っ子は、お顔が小さくて、あごが細い子が多いです。とてもかっこよくて羨ましいのですが、現代のお子さんは、昔の人々と比べると、お顔の部分の上あごが小さいと報告されています。それは現代の発展した環境、食生活習慣が原因だと言われています。自然に歯ならびが綺麗に成長するお子さんは少ないと言われています。よって、現代のお子さんは、歯ならびや噛み合わせが悪い子が多いので、早期の癖の改善や、顎の成長を利用した小児矯正が必要になります。

では、なぜ上あごが小さくなってきているのでしょうか?

噛み合わせが悪くなる上あご成長不足の原因

  • 早期離乳による舌運動未熟
  • ベビーフードの頻用
  • 食生活の変化(噛まない食事)
  • 栄養状態が良くなり歯が大きくなっている

など


赤ちゃんはお母さんのおっぱいを吸うことによって、舌運動を覚えていきます。最近は早期の離乳によって、舌運動が未熟なお子さんが多いと言われています。おっぱいを吸う吸啜運動が未熟なために、上あごが小さくなっていると言われています。また、早期離乳でベビーフードを食べる時期が早くなっています。これら食生活の変化で、現代は柔らかい加工食品が多く、昔みたいに硬いものを噛む習慣がないので、噛み合わせの筋肉が細くなっています。また、現代のお子さんは赤ちゃんの時期に栄養状態が非常に良いので、昔の人に比べると歯が大きくなっていると言われています。上あごが小さくなっているのに、歯が大きいので、歯並びが悪くなってしまっている可能性があります。

上あごの成長不足による影響

  • 噛み合わせが悪い
  • 上気道(鼻腔)が狭くなる
  • 鼻呼吸ができない
  • 慢性鼻炎
  • 口呼吸
  • 扁桃肥大
  • 舌突出癖
  • 口がぽかんと開く
  • いびき
  • 睡眠障害
  • 寝相が悪い
  • 姿勢が悪い、猫背など

現代っ子の上あごが小さくなっているというお話をしましたが、上あごが小さくなるとお子さんにどんな影響が出てくるのでしょうか?上あごが小さくて、歯が大きいので、歯ならびが悪くなります。昔みたいに、八重歯と言われるお子さんが多くなってきています。
上あごが小さいので、お鼻の奥の鼻腔が狭くなります。鼻腔の換気量が少ないために、慢性鼻炎のお子さんが多いと言われています。いつもお鼻が詰まっているので、鼻呼吸がしにくいのです。そうすると、お口で呼吸をしようとして、口呼吸になってしまいます。口呼吸になると、いつもお口と喉が乾燥してしまうので、扁桃腺が炎症を起こしやすくなります。また口で呼吸しようとして、舌を前に出す癖が多くなります。確かに、毎日診察していると、口呼吸で舌突出癖があって、口がぽかんと開いているお子さんが多いように感じます。このような変化から、いびきをかいたり、睡眠障害になってしまいます。上あごが小さくなることによって、これらの歯とは関係ないと思われるような症状のお子さんが増えています。

子供の矯正とはただ単に歯並びをきれいに整えるのではなく、現代の生活環境から起きる顎の成長不足を解消するために、健全な顎の骨の成長を促してあげて、良好な歯並びと全身の健康を実現させるものです。

子供の矯正はいつから開始したらいいの?


不正咬合(悪い噛み合わせや歯ならび)は舌や噛み合わせの癖により生じるものと、骨格の成長不足により生じるものに大別されます。舌の習癖や噛み合わせの癖により起きる不正咬合は乳歯列の早期に治療を開始します。小学生の低学年頃にマウスピースを使用し、習癖の除去を行います。
お子さんの上あごの骨は頭蓋骨の成長とともに大きくなりますが、およそ10歳前後で成長は止まってしまいます。赤ちゃんの頭の後ろの大泉門がペコペコしているように、子どもの上あごの正中口蓋縫合という繋ぎ目は、10歳頃まではまだ繋がっていません。よって、この正中口蓋縫合が固まる10歳前後までは、上あごは広げることができます。よって、上あごの成長不足で小さいお子さんには、10歳頃までに上あごの拡大装置をつけて、顎を広げる治療を行うことができます。対して、下あごは、手足の骨の成長と同じ頃に大きくなります。よって、下顎の拡大は思春期頃まで余裕はあります。しかし、個々のお子さまによって成長スピードは異なりますので、適切な治療開始のタイミングは異なります。
ベストなタイミングで治療を開始できるように、早めにご相談いただければと思います。

小児矯正の時期と種類

小児矯正は乳歯列期、混合歯列期、永久歯列期によって治療目標と方法が変わります。
幼稚園は乳歯列期、小学校は混合歯列期、中学生は永久歯列期と覚えて頂ければ良いです。
幼稚園や小学校低学年のお子さんの不正咬合は、舌や噛み合わせの習癖で発生することが多いので、まずプレオルソというマウスピースで習癖の改善と筋力のトレーニングを行います。
上あごの成長不足が原因の場合は、小学校高学年から急速拡大装置を使用して、上顎拡大を行います。上あごを拡大して、歯が並ぶスペースを確保します。
この小学生の間、混合歯列期に行う治療を1期治療と言います。
小学生後期、中学生頃に、永久歯は生えそろったらワイヤーで歯ならびの矯正を行います。この永久歯列期に行う治療を2期治療と言います。
子供の矯正は、習癖の改善と顎の拡大を行う1期治療と、歯並びを整える2期治療に分けられます。

小児矯正で使用する装置

1期治療

プレオルソ

プレオルソは、小児期に使用される取り外し式のマウスピース型矯正装置です。やわらかい素材でできており、装着時の痛みや違和感が少なく、お子様も受け入れやすいのが特徴です。主に就寝時や自宅での装着が中心で、歯並びの乱れや噛み合わせの不具合を改善し、あごの健やかな成長をサポートします。早期に使用することで将来の本格的な矯正治療を軽減できる可能性があり、口呼吸の改善にもつながります。

メリット
  • 取り外しができるため衛生的
  • 比較的痛みや違和感が少ない
  • 成長期にあわせて歯並びや顎の成長を誘導できる
  • 日常生活に支障が出にくい
デメリット
  • 装着時間の自己管理が必要
  • 適応できる症例が限られる
  • 効果に個人差がある
  • 紛失や破損のリスクがある
 
急速拡大装置(上顎)

上顎の骨を拡大するための装置で、顎を広げることで歯がきれいに正しく並ぶためのスペースを確保します。装置の中心にあるスクリューを回すことで、上顎の骨の接合部が広がっていきます。

メリット
  • 固定式なので確実な治療が可能
  • 短期間で効果が得られやすい
  • 上顎を広げることで、歯を綺麗に並べるためのスペースが確保できる
  • 将来、矯正治療にともなう抜歯が回避できる可能性が高まる
デメリット
  • しばらくはものが飲み込みにくいなど、食事で違和感を覚えることがある
  • 慣れるまで発音しづらくなる場合がある
  • 装置が目立つ
  • 鼻や口元に痛みを感じることがある
 
リンガルアーチ(下顎)

上あごや下あごの奥歯にバンドを装着し、それらを金属のワイヤー(アーチ)で連結することで、歯の移動や歯列の維持を行います。特に乳歯が早く抜けてしまった場合に、永久歯が正しい位置へ生えるための「スペースを確保する装置」として用いられます。取り外しができないため、装着中に紛失の心配が少なく、比較的安定して効果を得られることが特徴です。

メリット
  • 歯のスペースを確保できる
  • 取り外しの心配がない
  • 矯正治療を効率的に進められる
  • 虫歯や歯周トラブルの予防に役立つ
デメリット
  • 装着直後に違和感が出やすい
  • 歯磨きがしにくい
  • 一時的な痛みや不快感
  • 見た目には分かりにくいがゼロではない

2期治療

マルチブラケット

マルチブラケット装置とは、歯1本1本に小さな装置(ブラケット)を接着し、ワイヤーでつなげて少しずつ歯を正しい位置へ移動させる矯正装置です。小児矯正では、永久歯が生えそろう頃に使用されることが多く、歯並びやかみ合わせを精密に整えられるのが特徴です。歯を三次元的にコントロールできるため、将来的な不正咬合や顎のバランス改善にも役立ち、見た目と機能の両面からお子様の健やかな成長を支えます。

メリット
  • 高い適応範囲
  • 精密な歯の移動が可能
  • 仕上がりがきれい
  • 確実な効果が期待できる
デメリット
  • 見た目が目立つ
  • 食事や歯磨きが大変
  • 口内の違和感や痛み
  • 食べ物の制限がある
 
アライナー

アライナーとはマウスピース型矯正装置のことで、基本的には透明なマウスピースを1週間ごとに交換していくことで歯を動かし、歯並びを整えていきます。
装置が透明なので、従来のワイヤー・ブラケットのように目立つ心配がありません。口元の見た目を気にせずに矯正治療を受けていただけます。

メリット
  • 透明なマウスピースを使うので装置が目立ちません
  • ゆっくり歯を動かしていくので、痛みが抑えられます
  • 取り外せるので食事がしやすい
  • 取り外し歯磨きができるので衛生的
  • 通院回数が2~3ヶ月ごとなので通常の矯正治療よりも少ない
  • 金属アレルギーの心配がない
デメリット
  • 抜歯矯正に対応するのは難しい
  • 歯並びによっては使用できないケースもある
  • 装着時間を守らないと治療期間が延びるケースもある
  • マウスピースの管理が必要

小児矯正(顎顔面矯正)の費用

すべて税込料金です。

プレオルソ 110,000円
小児矯正(顎顔面矯正)(Ⅰ期治療) 495,000円
小児矯正(Ⅱ期治療) 275,000円

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当院での小児矯正症例

症例1 前歯の出っ歯を治した症例

治療名 1期急速拡大装置、2期マルチブラケット
治療説明 小学6年生の頃に前歯の出っ歯を主訴に来院。上顎を急速拡大装置で拡大したあと、マルチブラケットで歯の矯正を行いました。
治療回数・期間 1期の拡大装置が約1年。2期のマルチブラケットが約1年。
副作用・リスク 装置装着時はブラッシングを怠ると虫歯のリスクが上がります。また、装置脱離などのリスクがあります。歯並びの後戻りのリスクがあり、メンテナンスで定期的なチェックが必要です。
治療費 1期治療495,000円 2期治療275,000円

症例2 犬歯が横から生えてきた八重歯を治した症例

治療名 1期急速拡大装置、2期マルチブラケット
治療説明 右上の犬歯が横から生えてきて八重歯をを主訴に来院。上顎を急速拡大装置で拡大したあと、マルチブラケットで歯の矯正を行いました。
治療回数・期間 1期の拡大装置が約1年。2期のマルチブラケットが約1年。
副作用・リスク 装置装着時はブラッシングを怠ると虫歯のリスクが上がります。また、装置脱離などのリスクがあります。歯並びの後戻りのリスクがあり、メンテナンスで定期的なチェックが必要です。
治療費 1期治療495,000円 2期治療275,000円

症例3 上あごの埋伏犬歯を開窓牽引して治した症例

治療名 1期急速拡大装置、上顎両側埋伏犬歯開窓手術、2期マルチブラケット
治療説明 某歯科大病院で治療困難と断られて当院来院。上顎を急速拡大して犬歯の萌出スペースを確保したのち、両側埋伏犬歯の開窓手術を行った。のちにマルチブラケット装着し、犬歯を牽引して歯の矯正を行なった。
治療回数・期間 1期の拡大装置が約6ヶ月。2期のマルチブラケットが約1年。
副作用・リスク 装置装着時はブラッシングを怠ると虫歯のリスクが上がります。また、装置脱離などのリスクがあります。歯並びの後戻りのリスクがあり、メンテナンスで定期的なチェックが必要です。
治療費 1期治療495,000円 2期治療275,000円

症例4 上あごが小さすぎることによる出っ歯を治した症例

治療名 1期急速拡大装置、2期マルチブラケット
治療説明 上あごが小さすぎて出っ歯に見えることを主訴に来院。上顎を急速拡大装置で拡大したあと、マルチブラケットで歯の矯正を行いました。
治療回数・期間 1期の拡大装置が約1.5年。2期のマルチブラケットが約1年。
副作用・リスク 装置装着時はブラッシングを怠ると虫歯のリスクが上がります。また、装置脱離などのリスクがあります。歯並びの後戻りのリスクがあり、メンテナンスで定期的なチェックが必要です。
治療費 1期治療495,000円 2期治療275,000円

小児矯正(顎顔面矯正)Q&A

小児矯正の治療期間はどのくらいですか?

適切なタイミングで顎顔面矯正を開始することで、1~2年程度で良好な歯並び・噛み合わせを作ることが可能な場合もあります。ただし、永久歯が生え揃う小学校高学年から中学校までは、定期的な経過観察が必要になります。

治療中、どのくらいの頻度で通院が必要ですか?

矯正装置を装着するまでは2週間に1回程度、装着後は1~3ヶ月に1回程度の通院が目安です。定期的にお越しいただいて、治療の経過を確認するとともに、矯正装置の調整いたします。

矯正装置は取り外せますか?

固定式のものと取り外し可能なものがありますが、お子さまの場合、確実な治療結果を得るために固定式のものを選択するケースが多いです。

矯正装置を付けることで毎日の生活に不便はありませんか?

装着し始めたばかりの頃は食事や会話などで違和感を覚えるかもしれませんが、しばらくすれば慣れてきます。過度に心配せずにお子さまが慣れてくれるのを待ちましょう。

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